恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「希子? どうしたの」
「あ、いや……なんでもないよ!」
「なんか変なのー。 私なにか言った?」
「ううん! ちょっと考え事してただけ」
笑顔を浮かべてそう言うと、芽依は『それならいいや』とそれ以上なにも聞いてこなかった。
図書館に着いてなかに入ると、温かくてなんだかホッとする。
いつもの席に彼はいるかな……。
不安になりながらも、図書館の勉強スペースのすみっこに視線を向ける。
「いない……」
いつもと同じ声のトーンでそうつぶやくと、静かな図書館であたしの声はすごく大きく感じた。
「え、いないの?」
こそっとそう聞いてくる芽依の言葉にコクンと小さくうなずく。
「なにがだよ」
「……なんでもない」
春馬は不思議そうに首をかしげている。
もう来なくなっちゃったのかな。
それとも今日はたまたま?
彼に聞くこともできないから、不安な気持ちはどんどん胸に募っていく。