恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





芽依と途中で別れて、春馬とふたりで歩く、図書館からの帰り道。
空を見上げると、さっきまではオレンジ色だったのに紫がかっていた。



7時の閉館までの2時間。
いつもどおりのその時間が、今日はなんだかすごく長く感じた。


彼を見るまえのときよりも、すごくすごく長かった。


もう会えないのかな。
……それなら、引かれたとしてももっと話しかけてみればよかった。



「希子、めずらしく集中してたな」

「……うん」

「つうか、なんか暗くねえ?」

「気のせいだって!」



不思議そうにあたしの顔を覗き込む春馬に、笑顔を向ける。


もう忘れちゃおう。
そうすれば、いままでどおり勉強にも集中できる。



彼のことは見なかったことにしよう。
きっと、彼はもう来ない気がするから。


……勘、だけど。 そんな感じがする。


< 47 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop