恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
そう考えながら参考書たちとにらめっこをしていると。
『ちょっとごめん』といつの間にか私の隣に立っていた男の子に声をかけられて、サッと棚のまえから離れた。
あ、この人、いつもすみっこのほうで勉強してる人だ。
彼の手には参考書が2冊あって。
目のまえの棚に、その参考書をもどした。
その光景をじーっと見ていると。
彼は不思議そうに顔をこちらに向けた。
「……なに?」
「え? あ、いや。なんでもないです」
「迷ってんの?」
なにを?
と思って首を傾げると、『参考書』と彼は言葉を付け足した。
「あ、はい」
「数学?」
コクン、と小さくうなずく。
この人、あたしと同い年なのかな。
あたしと同じで、高校受験を控えてる中3っぽい。