恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「ねえ、莉子」
「……うん?どうしたの?」
「今日どこに行ってたの?」
携帯を閉じた莉子にそう聞くと、莉子はびくっと肩を跳ねさせた。
やっぱりなにか怪しい。
だけど莉子はすぐに平然をよそおった。
「友達と図書館で勉強してただけだよ」
「え、図書館に莉子いなかったじゃん」
「いや、えっと……違う図書館に行ってたの」
「だれと? 実鈴?」
そう聞くと、莉子は『えっと…』と何度も繰り返した。
莉子はいろいろなことを心のなかに隠すタイプだけど、こういうことで嘘を吐くのはできないらしい。
「男の子と?」
「えっ!?」
どうやら正解だったらしく、莉子は頬を少し赤く染めた。
莉子が男の子と話すのすらめずらしいのに、莉子のそんな反応もすごくめずらしい。