恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
莉子はふだん自分のことをあまり話さない。
だけど、その隠してることをその人には話したって思うと、ちょっと羨ましくもなる。
「名前は? なんていうの?」
「えっと……、三吉くん」
名前を出した莉子は、恥ずかしそうにしている。
そんな莉子が、やっぱり羨ましい。
「希子? どうかしたの?」
「なんか、不思議」
「なにが?」
「いつもだったらきっと逆なのにね」
あたしの言葉に、莉子は相変わらず首をかしげている。
そんな莉子を見て笑うと、ますます不思議そうな顔をした。
「あたし、いつもだったらばかみたいに話しかけたりするのに。 今回だけはどうもだめ」
「希子にも気になる男の子がいるの?」
莉子は顔を明るくさせて、嬉しそうにそう聞いてきた。