恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





7時。
追い出されるようにして、図書館を出るといつもどおり真っ暗で、月も顔を出している。



「あ、えっと……これからどこか行くの?」



疲れたのか、大きく伸びをしていた三吉くんは、私の言葉に『うん』と笑いながらうなずいた。


……どこに行くのかな。
さっきよりも、もっとわくわくしてる。



「着いてきて」



嬉しそうな顔をする三吉くんの言葉に、小さくうなずいて。
言葉どおり、三吉くんのななめうしろを歩いて行く。



いつもどおりの帰り道。
だけど、左に曲がる道を曲がらないで、三吉くんはそのまままっすぐ歩いて行く。


いつもはここで三吉くんと別れて、まっすぐ家に帰るから、どこか新鮮な感じがする。


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