恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
《Kiko》





「私……恋、しちゃったかもしれないの」



帰ってきた莉子は部屋に入ってくるなり、そんなことを言い出した。
その言葉に、開いた口はふさがらない。


こ、恋……!?
恋って、だれかを好きになる、恋?



「もしかして三吉くん?」

「……う、うん」



莉子が三吉くんに恋かあ……。
自分のことじゃないのに、すごく嬉しく感じるのが不思議。


だけど莉子の表情は、あたしとは違ってどこか暗かった。



「莉子! 座って!」

「あ、うん」



ベッドに腰をかけて、隣をぽんぽんと叩くと。
莉子はあたしの隣に座った。



「なにに悩んでるの?」

「えっと……」



なかなか言葉を紡がない莉子が、じれったい。

恋をしてるならもっと嬉しそうにすると思ったけどなあ。


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