恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「好きになっていいのかなって」
「……え、どうして?」
「だってほら、もし……」
莉子がなにか嫌なことを言いそうだったから、あたしは莉子の両ほほを左手でぎゅうっとつぶす。
タコみたいな口になった莉子は、あたしの手を剥がそうとする。
「好きなら好きでいいじゃんっ」
「へっ」
「認めちゃいなよ! 恋ってすごく楽しいのに、もったいないよ!」
そう言ってから左手を離すと、莉子はコクンと小さくうなずいた。
「ありがとう、希子」
にっこりと微笑んで見せると、莉子は照れくさそうに笑った。
やっぱり、あたしまで嬉しくなるなあ。
あんなこと言ったけど、実は小2の初恋以来……恋をしたことがない。
しかも、その相手は春馬だったし……。
実際、恋は楽しいんだろうけど。
あたし自身もよくわからない。