恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「希子(きこ)、おまえやる気でやってんの?」
そんなぼそっとした小さな声が聞こえて我に返る。
そして、目のまえに座る春馬に視線をもどした。
「『図書館に行こう!』ってはりきって言うくせに、いつも真面目にやんねーよな」
「やってるし!」
勉強にはちゃんと集中してる。 ……つもり。
ううん、集中しようとはしてる。
だけど、気がつけば頭の中は数学の問題より、彼でいっぱいになる。
なんでこんなにも気になるのかな。
なんでこんなにも考えちゃうかな。
そう自分に問いかけても、わかるわけじゃない。
数学の問題に答えはあっても、この問題の答えは明確じゃないんだ。
「おまえ、そんなんじゃ受かんねーよ」
最初はぼそっとした声だったのに、だんだんとボリュームがあがっていく。