恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
すると、春馬は友達の輪から外れて、あたしと芽依のいる教室のうしろのほうに向かって歩いてきた。
どうしたんだろう、と、芽依に返事をするのも忘れて、首をかしげながら春馬が来るのを待つ。
「春馬?」
「俺さ、あいつらにファミレスで勉強しよって誘われたんだけど」
『あいつら』と、春馬はあごで友達のことをさした。
「河西、ナイスタイミング! 私もいま希子のこと誘ってたの」
「まじで? いい、希子?」
「うん、わかった!」
それならよかった。
たまには、違う環境で勉強するのもいいよね。
「じゃ」
春馬は右手を上げて、そう簡単に言うと、また友達のところへ戻った。
「じゃあ、莉子にも聞きに行こ! ちょっと待ってて、荷物持ってくる」
「うんっ」