恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
ーー莉子は、悪くないのに。
でも、元気そうにしてるからよかった。
そんな莉子の姿を見て、ホッとして小さく息を吐く。
首の周りに巻いたパステルオレンジのマフラーをほどいて、乱れた呼吸も整える。
「大げさなんだよね。 私、ただの貧血で倒れただけなのに」
「……それならよかった」
「お母さんは?」
「お医者さんに呼ばれて、どこか行っちゃった」
莉子は『そっか』と言って、柔らかく笑った。
莉子は、体育の時間に倒れていつもの病院に運ばれた。
顔が青ざめるほど怖くて、びくびくしながら、仕事を切り上げたお母さんと病院に来た。
あのときみたいに、莉子に管がたくさん繋がれていたらどうしようって怖かった。