恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



その沈黙を破ったのは、ドアをノックする音だった。
2回のノックのあとに、ガラッとドアが開く。


なかに入ってきたお母さんの目は、少しだけ赤く見えた。
顔もすごく青白くて、いまにも倒れてしまいそう。



「莉子、今日は一応 入院しなさいって」

「うん、わかった」

「お母さんと希子は帰って、着替えを持ってくるわね」

「ありがとう、お母さん」



窓から見えるさっきまで晴れていた青空は、オレンジ色の夕焼けに移り変わっていた。


ねえ、どうしてだろう。
胸がざわついて、すごく嫌な予感がするんだ。



夕焼けの次の日は晴れだって。
だけどそれを覆すかのように、明日はどしゃ降りの雨が降りそうで。

……胸が変にざわついている。





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