恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
いつもどおりの時間に呼び鈴が鳴って。
『行ってきます』の声に返ってくる『行ってらっしゃい』。
なにもかもがいつもどおりなはずなのに、それに変に違和感を抱いてしまう。
門の外には、寒くて鼻を赤くさせた春馬が立っていた。
「おはよ、希子」
「うん、おはよ」
「……莉子は?」
「昨日から、一応入院してる。 たぶん、今日帰ってくるよ」
春馬も莉子が倒れたことを知ってる。
だからそう告げると、春馬はホッとしたように白い息を吐いた。
左隣に莉子がいないまま、いつもの通学路を、春馬の左側を歩いて行く。
「希子、おまえどうかした?」
「……え? なにが?」
「なんか、暗いけど。 そんな顔してると余計にブスに見える」
「そっか」
どうしても、春馬にいつもどおり言葉を返すことができない。