恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「希子がそんなんでどうすんだよ」
「……ごめん」
〝いつもどおり〟に違和感を抱く理由がわかった。
莉子の入院以外はなにもかもいつもどおりなんだ。
だけど、あたしだけがいつもどおりじゃない。
だからきっと、変な感じがしたんだ。
……たぶん、そうだ。
「希子」
心配そうに声をかけてくれる春馬に、にっと笑顔を見せる。
「そうだよね! いつもどおりにする!」
「おう」
話すたびに白い息がふわっと出ては消える、そんな冬の朝。
〝いつもどおり〟に戻すように、たくさん笑ってみせる。
夕焼けの次の日はちゃんと晴れた。
嫌な予感もただの予感だった。
だから明日の朝はきっと、あたしの左側を莉子がいつもどおり歩いている。