恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「春馬、嫌だよっ」
あたしの言葉を無視する春馬は、どんどん莉子の病室に向かって歩いて行く。
春馬、莉子と気まずいんじゃないの?
それなのにどうして、ここまでして行くの?
「怖くないの!?」
さっきまで無視していたくせに、そう叫ぶと、春馬は足をピタリと止めた。
そして、少しうしろを歩くあたしを振り返った。
「怖くないわけ、ないだろ」
「じゃあ、行きたくないよ……」
「でも、行かなきゃわかんねーじゃん」
「わかりたくない!!」
あんなお母さんとお父さんの様子を見ていたら、もう予感は当たりそうな気になっちゃうから。
もう……なにも聞きたくないよ。
このまま、予感のままでいたい。
本当のことを知りたくない。
ここから、この病院から、いますぐ走って逃げてしまいたい。