恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「ふたりとも、いきなりだったからびっくりしたよ」
そう言った莉子は、柔らかく笑った。
そんな姿に、ホッと胸をなで下ろす。
「莉子、大丈夫?」
「え? あー……なんか、一応って言われて入院が伸びちゃったの」
震える声に返ってきたのは、莉子のいつもどおりの明るい声だった。
……よかった、元気で。
「体調は?」
「元気だよっ。 ほら、お母さんが心配性なだけだって」
『すぐ退院できるよ』と、莉子は満面の笑みで言った。
それは、本当のことなの?
だって莉子は嘘を吐いているかもしれないし、なおさらわからない。
すごく笑顔だからこそ、怖い。
「本当に?」
「なあに? 希子まで心配性?」
「違くて……」