奇跡の歌姫【下】
「じゃあ一度ホテルに向かうわよ。…愛歌を後ろに。」
誰かに抱えられて、車の後部座席に寝かされた。
もう、目を開けるのも億劫になっていた。
「愛歌、着いたわよ。…寝てるの?」
寝てはいないけど、返事をするのが辛かった。
目も開きたくなかったけど、1度だけ開けて、起きていることを示した。
「外の空気を吸いましょ。ホテルの中へ。」
さっきと同じ人に抱き上げられて、どこかに運ばれた。
話の流れ的に、ホテルのロビーだろう。