レイアップ


凡人がカリスマにひかれることはあっても、カリスマが凡人にひかれることはない。カリスマがひかれるのはカリスマだけだ。見た目は違っても、ミウとユキはある種似た者同士なのかもしれない。ミウの前で氷の女王はどんな表情をして笑っているのだろう。溶けた氷の下にある王女の顔は、平民のおれには想像できなかった。

「よかったな。いい友達ができて」

ユキは、うんと小さく頷いて、それ以上ミウのことについては喋らなかった。明らかにおかしいユキの態度に、気になることは山ほどあったが、おれもそれ以上ミウについて触れることは無かった。告白された後に別の女の子の話をするのはデリカシーがなさすぎるし、なによりフェアじゃない。ミウの正体を知るのは、やっぱりミウに勝ってからだ。


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