レイアップ
おれは一目見ただけでユキの異変に気がついた。
透き通るような白い肌は、更に血の気を失い、蒼白な肌と見開いた瞳孔、ぽかんと開いた口は、まるで幽霊でも見たかのようだ。それは、昨日おれがミウの名前を出した時と同じ顔。
だが、その顔を確認できたのも、ほんの一秒たらずの時間だった。ゴツン、と鈍い音がして、おれの視界に体育館の天井が広がった。
ボックスアウトで背中越しに感じていたミウの身体が突然消えて、支えの無くなったおれは、そのまま後ろに大きく尻餅をついた。おまけにその反動で、間抜けにも床に後頭部をぶつける。
「大丈夫?」
上から顔を覗き込んでいったのはユキだった。
「この学校は体育館で補習があるの?」
ユキの顔は冷たくクールな表情に戻っていた。
「いや、それはその・・・」
コロコロと床を転がるボールをユキが拾い上げた。そうだ、おれは負けたんだ。突然のユキの登場でおれはすっかり動揺していた。
まずどこから説明しよう。おれは助けを求めるように身体を起こして、後ろにいるミウの方を振り返った。