レイアップ
「夏休みに入って一通のメールが届いた。死んだはずのミウからだった。内容はどうってことない内容で、元気してる?の一言だけ。初めは誰かのイタズラかと思ったけど、メールの言葉づかいや、変な絵文字の使い方は確かにミウだった。不思議と怖くはなかったな」
死んだ人間が生きている。そんな矛盾が本当にこの世にあるのだろうか。おれはまだ半信半疑だった。
「信じるか信じないかはシュウイチ次第。でもどっちみちミウにはもう会えないと思う」
「なんでそんなことがわかるんだ?」
「今朝ミウからのメールを見ようとしたら、ミウのデータが全部消えてたの。シュウイチの携帯と同じように」
おれは叫んだ。
「そんなの勝手すぎるだろ」
ユキは笑ってうなずいた。
「うん。でもミウらしい」
「ユキはそれでいいのか?」
「最後に一目だけでもミウの姿を見れたから。夏休みの間中ずっと部活見学のふりしてミウのいそうな場所を探してたんだ。でも全然見つからなくて、まさかこんなところに隠れてたなんて、昨日までは思いもしなかった」