レイアップ
その先の答えは聞かなくてもなんとなくわかった。輝かしい栄光の時間は思っているほど長くはない。自身の気づかないうちに、輝きは徐々に弱くなり、時には突然闇が訪れたりもする。恐ろしくあっさりと、なんの前触れもなく。
確信なんてものは、光が生んだ幻だ。
「私が中学に上がった春に、お母さんが死んだの」
ミウの目から光が消えた。瞳の奥からは静かな闇が広がっている。
「突然だった。迷うことなくバスケ部に入部届けを出して家に帰った日、いつもおかりって出迎えてくれるお母さんの姿がなかった。しんと静まり返った家の冷たくて重い空気に、悪い予感を感じずにはいられなかった」
悪い予感は、何故か良い予感よりはるかに高い確率で当たってしまう。それが悪い出来事であればあるほど。
ミウはぶり返した古傷の痛みを我慢するように、少し顔を歪めた。
「末期のガンだった」
ミウの瞳が完全に闇に染まった。