レイアップ
ミウはやっと表情を取り戻して、氷が溶けだすように優しく笑みを浮かべた。少し得意気な顔をしておれを見る。
だが、それはすぐに苦悶の表情に変わり、ミウは首を横に振った。
「シュートが入った瞬間、今まで流れなかった涙が一気に溢れ出した。それはもう、身体中の水分が枯れてしまうんじゃないかってくらい大量に」
ミウの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。しかし、それがミウの頬をつたうことはなかった。多分ミウはその時、一生分の涙を流しきってしまったのだろう。
「嬉しかったからじゃない」
そんなことは言われなくてもミウの顔を見れば分かる。しかし、おれはただ黙って話を聞いた。
「“お母さんの”3Pが入った瞬間、私はようやく気がついた」
おふくろさんが死んだことを?おれは心の中でそう呟く。ミウはその声が聞こえたかのように、また小さく首を横に振った。
「自分がバスケを好きじゃないってことを・・・」