レイアップ
だが、次の瞬間、自分の目を疑うような光景が視界に入った。

完全に裏をかいて振り切ったはずのミウが、何故かおれの目の前、いや、おれの上にいた。


シュートモーションに入ったおれの腕は、もう止めることはできない。

おれの手から放たれたボールは、一瞬リングに向かって上昇し、ミウの右手によってあっけなく後ろに叩き落とされた。


完璧なブロックショット。
そして、完璧な敗北。


愕然とした。



「どうしたの?ぽかんとしちゃって」

おれは、尻餅をついたみたいに床に座り込んで口を開けていた。

何でだ?頭の中が軽く混乱していた。どうしてあの状況でブロックされるのか。瞬間移動?まさに神がかり的なブロックショット。不気味な程の跳躍力。こんな完璧に自分のシュートを止められたことなんて未だかつてあっただろうか。


「なあ、いったい今なにやったんだ?」

ミウは、質問に答えることなくボールをひょいと拾い上げ、オフェンスの位置についた。

「2―0」

ぼそっとスコアを呟くミウ。それから、何分時間が過ぎただろうか。おれは、全身から全ての水分を吐き出し、ベトベトになりながら床に倒れていた。

「40―0・・・ 」


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