レイアップ

頭の上に差し出されたポカリを受け取り、一気に飲み干した。まだ、呼吸が乱れていて、ゴホゴホと咳き込んでしまう。それを見て、ミウがケラケラ笑った。

「大丈夫?」

40‐0。オレは20本もシュートを決められ、20本もシュートを止められたことになる。まるで、天使とワンオンワンをしているみたいだった。

地上に降りた小さな天使は、自分に気が付いた人間の子供と遊びはじめる。
天使は、子供の周りをひらひらと舞ってみせるが、決して子供の手が天使に触れることはない。必死で自分を捕まえようとする子供を、天使はケラケラと笑って見ている。そんな、感覚のする時間だった。

まるで次元が違う。

ミウがアップにしていた髪を下ろした。さらっとした細い毛が肩に落ちる。
戦闘体勢が解けたのだろうか。さっきまでの天使の様なオーラが消え、普通の女子高生のミウに戻った。


そう、普通の女子高生。足だって特別筋肉がついてる訳ではい、女の子らしいふっくらとした肉が滑らかな線を描いている。きゃしゃな体に、ちょっとグラマラスな胸。もちろん、背中に翼なんて生えてない。

「なあ、いったいマジで何者?」

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