レイアップ
「一本だけだ。あんたからワンゴール取ればおれの勝ち」
「もし、止められたら?」
「それはない。百パーセントおれが勝つ」
自信があった。確実におれのボールはあのリングをすり抜ける。理由なんかないけど、おれにはそれがわかった。
視界に捕らえたリングは、そのまま微動だにせずそこに口を開けている。
ミウと向き合った時の様な距離感のズレは全く無かった。
その代わり、叔父の姿が少しだけ小さく見えた。昔は、化け物みたいに大きくて、後ろにあるリングは遠く、高くに見えていたのに。
奴が腰を落とし、スタンスをとった。
「昔はよくいろんな勝負したよなあ」
おれは無視して、右にワンフェイク入れ、左にカットインした。
「1オン1に、フリースロー、3P・・・」
相変わらずディフェンスが嫌みなくらい上手い。中年の足腰とは思えない脚力と、ディフェンス中にペラペラと喋る癖も相変わらずだった。
「相変わらずワンパターンだな、お前の攻めは。セオリー通りで先が読みやすい」
奴の右手がグッと伸びてきた。