レイアップ

左手はそえるだけ。

昔読んだ超メジャーなバスケマンガの名台詞。

だが、ゴール下で必ずしも綺麗にセットポディションをとってシュートを打てる訳ではない。
一番コート上で人口密度が高くなる台形の中、時にはトリッキーなシュートも要求される。


おれは、空中にいられる短い時間の中、左手一本でボールを放った。

体をリングと垂直にして横に向ける。サウスポーでのフックシュート。


奴の目が一瞬丸くなる。
コンマ数秒遅れてブロックの手が伸びてきた。


だけど、もう遅い。正面からこのシュートをブロックするのは不可能だった。

右手と頭のその更に先から放たれるシュート。
無理にブロックしようとするとファールになってしまう。

いわば、絶対領域からの伝家の宝刀。



「ミウならこれも止めてみせるのかな・・・」そうふと、頭の中で浮かんだとき、ボールは静かにリングをすり抜けていた。


試合終了。


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