レイアップ
おれの持っている古びたバスケットボールが気になった様だ。ミウはオレからボールを取り上げると、それをまじまじと見つめた。
「いいボールだね」
「ただの古くさいボールだよ」
「でも、使ってた人の歴史みたいなものを感じる。キズだらけだけど、その分だけ重みがある」
「そのボールがおれのじゃないってわかるのか?」
「うん。なんとなく。このボールどうしたの?」
おれは、少し考えてこう答えた。
「貰ったんだ。昔やってたミニバスの監督から」
「ふーん。じゃあ今日はこのボール使って勝負しようよ」
それからまたミウとの1on1が始まった。昨日と同じでオレのシュートはことごとくリングに弾かれる。
何本目のシュートだろう、おれが綺麗にブロックショットをくらった所でミウがいった。
「ねえ、なんか変だよ?」