レイアップ
「何が?」
ミウは少し不満そうな顔をしている。
「集中してないっていうか、上の空っていうか、昨日と違って全然キレがない」
自分ではそんなつもりはなかった。シュートは全然入らないけど、体はむしろ昨日より動いていると思う。
「そんなことないよ」
バッシュを床で二、三度擦ってデフェンにつく。
「このボールのせいかな。シュウ、何か別のこと考えてるでしょ」
そういうと、ミウは片手でボールを目の高さまで上げ、首をかしげた。
「関係ないって」
そういいながらも、頭の中ではさっきの出来事がゆっくりと再生されていく。
「関係ない?このボールが?それとも私には関係ないってこと?」
おれは、無視してボールに飛び付いた。ミウはひらりと交わしてあっさりと抜き去る。
「お前とバスケするのも今日で最後だな・・・」
寂しそうな叔父の言葉を思い出した。