レイアップ

叔父の怪我は、医者の診断によるとバスケットプレイヤーにとって致命的なものだったらしい。日常生活に支障はないが、このままバスケを続けると確実に左足の機能は失います。そういわれた叔父はドロップアウトすることを決めた。

「膝に爆弾くっ付けたまま、バスケを続ける度胸はおれにはなかった」

膝を擦り笑いながら叔父はいった。

「あんたバカか」

おれは思わずいってしまった。
そんな爆弾を抱えながら、おれと毎日練習して、おれがミニバスを辞めてからも多分トレーニングを続けていたのだろう。そうじゃないとあのディフェンス力には納得ができない。それは奴自信がいっていたことでもある。ディフェンスは日々の積み重ねだと・・・。

「この日が来るのを待っていた。やっとこれで手放せる。膝のことなら心配するな、なんとか動いてるから完全にいっちまった訳じゃないだろう。医者なら自分で行く」


そういって叔父は足を引きずりながらコートを後にした。

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