レイアップ

中学時代、空手部主将。県ベスト8。

色白で、モデルの様なか細いスタイルをした身体のいったいどこにそんな力があるのかわからなかったが、その強さと、目鼻立ちの整ったある種、冷たささえ感じさせる綺麗な顔立ちは、近寄ってくる男たちを簡単になぎ倒すだけのオーラがあった。

相手にもされない男たちは、皮肉を込めて彼女を「雪女」と命名したが、おれの中では、その威風堂々たる姿は、まるで氷の王女みたいだった。

ユキの背中からは夏なのにひんやりとした冷気みたいなものを感じる。


「ねえ、暑いね」

やっと、ユキが口を開いた。王女様と朝の散歩の始まりだ。


< 76 / 194 >

この作品をシェア

pagetop