レイアップ
床のワックスは剥げ落ち、四つある重たい鉄扉の一つは、鍵が壊れていて、おれみたいな奴でも簡単に忍び込めてしまう。古びたリングのネットは所々切れて、だらしなくぶら下っていた。
そう、ここは私立西高等学校。
もしかしたら、キミも知っているかもしれない。地元ではかなり有名な、悪名名高いあの西高だ。
学校社会からはぶかれ、様々な問題を抱えた奴らが毎年ここに放り込まれてくる。
そして、おれもその中の一人。
初めは、制服を着て街を歩くだけで周りの視線がチクチクと痛かったが、それも今ではすっかり慣れて、入学してから頭の色も様々な変化を遂げた。
結果、おれの髪の毛は、燃え尽きた灰の様に薄暗いアッシュに染まっている。
もう、立派な西高生徒の一員だ。
バスケットマンの面影もすっかりと消え失せていた。
ただこうして誰もいない体育館に足を運び、何をするでもなく時間が過ぎるのを待つ。
スローライフとは、こういうことをいうのだろうか。