レイアップ
そんな、バカなことを考えながら、体育館の時計の針は午後一時半を回ろうとしていた。
やけにゆっくり流れる時間の中、うとうととしたおれの意識は、冷たい床板の上で、静かな眠りに落ちていった。
夏休みに入ってから、いつもこのくらいの時間になると昼寝をするのがおれの日課になっていた。
そして、毎回、同じ夢を見てうなされる。
それは、背中に翼の生えた少年の夢。
ダブダブの黒いユニホームに、足下にはナイキのバッシュ。背中には13番の数字から大きな翼が生えていて、おれに背中を向けて立っている。
おれが呼び掛けると、少年はくるっと首だけ向けてこういう。
「バーカ」
そういって、少年はケラケラと笑いながら、空へ飛んでいってしまう。
おれは、必死で少年を追いかけ様とするが、おれの立っていたはずの地面はふっと消え失せ、真っ暗な闇の中に引きずり込まれる。
断末魔の様な自分の悲鳴。
そこで、いつも目が覚める。