レイアップ


もうそろそろ花火が上がる時間だ。祭り会場は聖高の先をずっと真っ直ぐ進んだ所にある河川敷で、屋台なども出ていないこの橋のあたりをうろついている人はほとんどいなかった。待ち合わせとしては丁度いい場所だ。

橋の真ん中で浴衣を着た女の子一人、背を向けて立っているのが見えた。

おれは左腕のGショックを見て思わず舌打をする。

“8:03”

やばい。三分遅刻、いやミウにいわせれば十三分遅刻ということになるのだろうか。とにかくまたミウに怒られてしまうことは確かだ。おれは、頭の中でどう言い訳しようか考えながら、小走りで橋の真ん中へとむかって行った。


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