レイアップ
「シュウイチは変わったよね」
ふいにユキが横を向いてお互いの視線が繋がった。思わず心臓の鼓動がドクンと一回大きく脈打つ。
「確かに変わったかもな」
おれはとっさに灰色に染まった前髪をつまんで見せた。なんでおれが動揺しなければいけないんだろう。今朝までは久しぶりに会ったただの幼馴染みだったのに、それからたったの数時間でロクに目も合わせられない相手になってしまった。おれたちの間にできた違和感たっぷりの空気は、まるで初対面の人間と話しをするときのように、会話の合間にかすかな空白が生まれる。そのテンポが悪くぎこちない沈黙のあとにユキはいった。
「ちがうよ。シュウイチが変わったのはそんな髪の色になるずっと前」
刺さるような冷たく小さな声。ユキは真剣だった。顔に出ない分ユキの感情は声に表れる。
「ずっと前っていつ?」