不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「塚原が落ち着くまでだから」

「はい。でも……風見さん、倒れないように身体には気をつけてくださいね?」

「俺の身体は丈夫に出来てる」

「またそんなこと言って。もし風見さんが倒れたら私、看病しにマンションに突撃しちゃいますよ?」

「ふざけるな。うるさくて寝られないだろ」

 おどけた口調で私が言うと、風見さんが呆れたようにフッと表情を緩めて笑った。

 仕事の合間の、ほんのひとこまだけれど。
 切れ長の瞳に捕らわれながら、こうして明るく話せたことがうれしくて、心が弾んでしまう。

 ――― そんな私は、かなり単純にできている。

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