不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「風見さん、違うんです!」

 私が横からそう訴えても、風見さんはチラリと一瞬こちらを見ただけで、すぐに藤野くんへと視線を戻した。

 お願いだから違うと言ってほしいと、私も藤野くんに目で懇願する。
 こうなった経緯を藤野くんがスマートに説明してくれたら収まりそうだ。

「風見さんが悪いんじゃないですか。付き合ってる緒川さんのことをほったらかしにするからですよ。あなたにしては隙を作りすぎです」

 な、なにを言ってるのだろう。
 藤野くんは冗談を口にしたわけでもなく、至極真面目な口調ではっきりと風見さんに向かって言った。
 当然だ、とでもいうように堂々と。

 私は唖然としてしまって言葉が出ずに固まったのだけれど。
 薄っすらと月の明かりで見えた風見さんの顔が、藤野くんの言葉でギリリと歪んだのが見えた。
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