不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「なんだと?」

 風見さんの声がひときわ低くなる。

「風見さんだって清瀬さんのマンションまで行ったそうじゃないですか」

「っ!………」

「ふたりで飲んで、家まで送るような状況になったんだとしたら、今の俺となにが違うんですかね?」

 自分のことを棚にあげていると藤野くんは言いたいようだけれど。
 喧嘩を売ってどうするのだ。
 相手は会社の先輩で、しかもあの風見さんなのに。

「これは俺と緒川の問題だ。お前はひっこんでろ」

「……わかりました」

 不機嫌色満載の風見さんとは正反対に、藤野くんは落ち着き払ってそう言うと、私たちに背を向けた。

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