不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「風見さん?」

「あー、マジで寒い」

 頭の上からボソリとつぶやくように囁かれた。
 後ろから回された彼の手の上に、そっと自分の手を重ねてみる。
 するとそれは、驚くほど冷たくひえきってきて、ブルブルと小刻みに震えていた。

「ここで、どれだけ待ってたんですか?」

「お前が楽しく酒飲んでる間だ」

 すごく嫌味な言い方だ。
 後ろから抱きつかれているから顔は見えないけれど、不機嫌はずっと継続中なのだろう。

 ……どうしたものやら。


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