不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「お前は俺をイラつかせる天才だな」

「……スミマセン」

「午後から明らかに元気がなかったから、心配してやったのにこれだ」

 風見さんはきちんと仕事をしながらも、私のそんな些細な変化に気づいてくれていた。心配してくれていたのだ。
 そう思うと嬉しくて、背を向けてるのをいいことに頬が勝手に緩む。

「さっき……藤野が言ってたことだが。それが原因なのか?」

「それ、って?」

「お前の耳に入ったんだろう? 清瀬のことだ」

 私は自分のお腹に回された腕をほどき、振り返って正面から風見さんと向き合った。

「お前もお前だ。笹岡との仲を清瀬に誤解されるからだろうが」

「スミマセン」

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