不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「送って行っただけだ。部屋には一歩も入ってない」

「本当ですか?」

「俺を疑うのか?」

 いつものように不機嫌そうに風見さんの口元がムニュっと歪んだところで、私は我慢の限界が来て、プっと噴き出してしまった。

「風見さんと清瀬さんって、一番ありえない組み合わせですもんね」

 部屋には一歩も入っていないとは……風見さんらしい。
 清瀬さんに挑発されたとはいえ、私はなにを心配して暗くなっていたのだろう。
 そう考えた途端、馬鹿馬鹿しくなった。

 私がクスクスと笑っていると、風見さんも表情を緩めて穏やかになる。

「お前のことは信用してるけど……あんまり心配させるな」

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