不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「冗談だろ。いちいち本気にするなよ」

「あ……あははは」

 そんな言葉を返され、思っていたより乾いた笑い声が出た。
 風見さんの場合、表情を見ている限り冗談か本気かの区別が付きにくい。

「良さそうなレストランを探しといてやる」

 いつものように、ぶっきらぼうにそう言われても。
 私はそのあと、おかしいくらいにニヤニヤが止まらなかった。

 ホワイトデーに彼氏と一緒に食事ができるのだ。
 それもうれしいけれど、風見さんがきちんと覚えていてくれたこと、その日に私と会いたいと思ってくれたことが、堪らなくうれしい。

 そんなふうに思う私は、もうすっかりこの恋に溺れている。

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