不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「俺に用があるんじゃないのか? 探してたんだろ?」
「ああ、そうでした。営業部から、もう始めるから来てくれと内線があったんです」
染谷さんが言っているのはうちのチームに新たに任せられた大きな仕事のことだと思う。
営業部の人たちとの戦略会議があると、たしか今朝話していた気がするから。
今日のその会議には、風見さんと染谷さんのふたりで出席する予定らしい。
「時間、二十分近く早いじゃないか」
「先方がさっき来て、会議室で既に待ってるらしいんですよ」
今度こそ、風見さんから小さくチッと舌打ちする音が聞こえた。
おちおち休憩もしてられないな、と。
会議は取引先の会社も交えてのもので、向こうの担当者が早めにこちらに着いてしまったから、予定より早く始めることになったのだろう。