不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「わざわざ探しに来なくても、俺のスマホを鳴らせばいいだろう」

「ここかなと思ったもので。次からは電話しますよ。緒川さんとの逢いびきの邪魔をしたのは想定外でした」

「ふざけてないで行くぞ」

 いつものように不機嫌そうにムニュっと口元を歪めてそう言うと、風見さんは颯爽と立ち去った。
 当然私のことは置いてきぼりだ。

 でもそれは、風見さんの照れ隠しなのだろう。
 会社でこんなに真っ向から私たちを冷やかしてくる命知らずな人は、相変わらず染谷さんくらいのものだ。

 次の日から、その大きな仕事の件で目が回るくらい忙しくなる。
 そう思っていたのだけど、私の予想に反してそうはならなかった。

 どうやら、昨日の戦略会議で何か揉めたらしい。

 詳細はまだ知らされいないから私にはわからないのだけれど、今日は朝から風見さん、笹岡さん、染谷さんの三人が営業部の隣にある会議室に行ったまま戻ってこない。

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