不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「風見さん、藤野くんのこと褒めてたよ? 頭がキレるって」

 あんなふうに風見さんをぐぅの根も出ない状態にできるのは、瀬戸さん以外、私は知らない。
 だからやはり、風見さんの指摘はは当たっていると思う。
 藤野くんは頭がキレるし、優秀だ。

「本当に? 俺、あの人に褒められたことないんだけど」

「風見さんはああいう性格っていうかキャラだから……口には出さないだけだよ」

「まぁ、直接褒められなくてもいいから、余計な嫉妬はしないでもらいたいよ」

「嫉妬?」

「俺、緒川さんに近寄っただけで、噛み殺されそう」
 
そんな表現をする藤野くんの言葉に、思わずケラケラと声に出して笑ってしまった。

 だって、噛み殺されそうって。
 まるで野犬か、熊みたいに例えられているんだもの。

 たしかに間違ってない気はする。
 風見さん……飼い犬ではなく野犬っぽいから。

 しかも背が高いから、絶対ドーベルマンか、グレートデン系の大型種!

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