不機嫌な彼のカミナリ注意報２

　藤野くんと一緒にオフィスに戻ると、風見さんがデスクに居てパソコン画面を睨みつけていた。

　笹岡さんと染谷さんの姿は見当たらない。
　どうやら三人は、お昼過ぎには缶詰め状態から開放されたのだろう。
　みんなお昼ご飯を食べられたのだろうか。

　私が給湯室で濃いめの緑茶を淹れ、風見さんの元に湯のみをコトリと置くと、険しそうな切れ長の瞳が私に視線を移した。

「お疲れ様です」

「ああ……気が利くな」

　眉根にシワを刻んだまま、風見さんが再びパソコン画面を睨みつけ、湯気の立つ緑茶に口をつけた。

　最近いつも風見さんの眉間にはシワが寄っている。
　常にあのままじゃ、元に戻らなくなるのではないかと思うほどに。

　出来ることなら、今すぐ手を差し伸べて、その縦にくっきりと刻まれたシワを横に引っ張って伸ばしてあげたいくらいだ。