不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「風見さんってさ、普段もあんな感じなの?」

「へ?」

「だから、緒川さんとふたりきりのときだよ。プライベートで恋人と一緒にいる感じが想像つかないからさ」

 不意打ちのようなその質問に、照れを誤魔化すように思わずあわあわとしてしまう。
 染谷さん自身に、冷やかしているつもりはないのだろうけれど。

「あ、あぁ……はい。だいたいあんな感じですよ」

 変わりはないです、なんて言ってしまったけれど、本当は少し違う。
 プライベートは、会社にいるときほど厳しくないし、やさしい顔ももちろん見せてくれる。

 だけど、正直になんて言えない。
 ベッドの中ではかなり甘くなるんです、などと口を滑らせたら私が殺される。

 最高に不機嫌な風見さんの顔が咄嗟に頭に浮かんで、それを払拭するようにフルフルと無意識に首を横に振った。


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