不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「身体、壊さないでくださいね?」

「俺はお前みたいに弱くないから大丈夫だ」

「え……私も弱くはありませんよ」

「夏のバーベキューで、雨に濡れて熱を出したのは誰だよ」

「あ、あれは……」

「夏風邪をひいたお前を、たしか看病してやったよな?」

 そうだ。そんなことがあったな。
 あれはまだ、私と風見さんがこんな関係になる前だった。

 高熱のおでこにビターンと勢いよく冷却シートを貼られたのを覚えている。
 その動作や態度はぶっきらぼうなのに、心配してくれる気持ちや、隠し切れないやさしさが溢れ出ていた。

 彼のそんな不意打ちのやさしさに触れてしまって、私にとっては一気にこの恋に陥落した出来事だった。


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