不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「あの時……風見さん、やさしかったですね」

「放っておけなかっただけだろ」

「そんなこと言って。私のこと、好きだったからですよね~?」

「アホか。おめでたい発想だな、お前の頭は」

 風見さんは天の邪鬼だ。
 こうして憎まれ口のようなことを言っていても、照れくさくて本心を隠してるだけだと知っている。

 ポジティブな私の頭は、だんだんそんなふうに変換できるようになってきた。
 ……いや、本当におめでたいのかもしれないけれど。

 こんなやり取りも、自宅に呼ばれたりするのも、私だけの特権だと思っている。

 職場ではいつもカミナリを落としているけれど。
 そしてこの人は陰では女性にモテるけれど。

 私を本気で傷つけるようなことはしない。

 本当はやさしくて、誠実な人だ。

< 177 / 299 >

この作品をシェア

pagetop