不機嫌な彼のカミナリ注意報２
「なぁ、J&Uの仲里さんって言えば、例のこの仕事の新しい担当者だろ？」

　隣の席の笹岡さんが、首を伸ばして染谷さんのほうへそう問いかける。

「そうそう。バカで横柄な若い男より、しっかりした女性が担当のほうがいいよ」

「え、仲里さんって、女性だった？」

「ああ。知らなかったか？」

　笹岡さんは営業部での社内会議には出席していたけれど、先方の担当者とは会ったことがないのか、染谷さんの言葉に純粋に驚いていた。
　新しく変わった担当者が女性だということに。

「で、なんで風見さんを指名して訪ねてくるんだよ。話があるなら営業部に行けばいいのに」

　笹岡さんの指摘は、この場にいた誰もがそう思っただろう。
　風見さんはマーケティング部の人間だ。
　打ち合わせや伝えたいことがあるのなら、営業部の担当者に話すべきだろう。窓口は全面的に営業部なのだから。

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