不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「営業の人間も、自分らを飛び越えて風見さんにいろいろと話されたら、気に入らないんじゃないのか?」

 風見さんだって、それはわかっているのだろう。
 だから先ほど藤野くんからの伝言にも『……俺に?』と、訝しげな顔をしたのだと思う。

「それが……知り合いだったらしい」

「は?」

「だから、風見さんと仲里さんだよ。偶然なんだろうけど、元々知り合いだったんだってさ」

「知り合い? どんな知り合いだ?」

「……さぁ」

 染谷さんが私に気づいて、緒川さんは耳塞いでてね、などと言われてももう遅い。聞いてしまっている。
 しかもそんな言い方をされると、ふたりがただならぬ仲のような気さえしてくる。

 風見さんだって三十年も生きていれば、女性の“知り合い”くらいはいて当然だ。
 どんな知り合いなのか、気にならないと言えば嘘になるけれど。

 やはり女にとって、恋愛に関して不安はつきものだ。
 些細なことで、いつだって弱気になってしまう。

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